まずは日本版からいくつか紹介

      

ストリートファイターⅡRYU 1巻~3巻 神崎将臣

徳間書店ファミリー・コンピューター・マガジン連載(93年5月~95年1月)

 

米国リリース版 Tokuma comics(94年4月~11月)
  初代ストⅡを原作にした一番最初にリリースされた漫画。スーパーストⅡやZEROシリーズ等でキャラのデザインやイメージが固定する以前に描かれたため、今見るとかなり違和感があるが基本的に絵はかなり綺麗で質は高い。物語は人工島シャドで行われる異種格闘技トーナメントが舞台で、原作とはかなり性格の違うリュウが中華料理店を運営してる姉弟が地上げ屋(バイソン)に絡まれてる所を助けて、二人の援助として賞金を稼ぐために闘う話。その他にシャドルーの麻薬売買を探るインターポール捜査官の春麗や親友の敵討ちに必死な軍人ガイル、祖国の飢える子供達のために賞金を稼ぐヨガ人間ダルシムが登場する。本田とザンギエフはただ大会に参加したヒマ人といった感じで、ブランカはリュウに敗れたバイソンの代わりに四天王の座に付きたがっている、ザコよりちょっと強いぐらいの噛ませ犬。ケンはというと、いつの間にやらシャドルーに捕り洗脳されていたようで、トーナメントに勝ち進んだリュウに襲い掛かるわけだが、おそらく劇場版等のケン洗脳ネタの元祖かと思われる。回想シーンではサガットはあくまで「ベガの部下」としてリュウと闘っており、ZERO以前に作られた話なのでサガットは後付け設定となった『帝王としてのプライド』とかそーゆーキャラではなく、単なるベガのシモベくんである。んで、その闘いの一方でリュウとケンの師ゴウケンが豪鬼ではなくベガに殺害されることになる。なおゴウケンの設定やキャラデザイン等はこの漫画での登場が初登場となる。リュウのふざけた性格もそうなのだが、春麗もCDドラマ版の影響か、リュウのことが好きな様子。あとは有名な春麗とバルログの闘いでの『名シーン』が単行本では『!!』の文字で見えなくなってしまっている。

 そして少し間を置いて発売された第3巻の蜃気楼編は番外的な内容で、ストⅡダッシュが売りとしていた同キャラ対戦に基づいたホンモノ対クローン対決が描かれている。ちょいとキミョーなのが、四天王が突然良い人っぽくなってしまうのだが、これは多分ダッシュでは「四天王も使用キャラになりましたよ」ってのをアピールしているのだと思われる。(あえて悪人だから使いたいんだって人もいたでしょうけど)

 アメリカではこれ以前に発売されて大失敗しているアメコミ版に続いて94年に1巻と2巻のみ英訳&オールカラーとなって8冊に分けて発売された。そして春麗VSバルログのあの『名シーン』はというと、日本の単行本以上に規制が厳しく、服の胸の部分がほんのちょこっと破けただけで赤面して手で覆い隠して闘えなくなったことになっている。

 

 

      

ストリートファイターV列伝 昇龍争覇 1巻~3巻 馬場康士
講談社コミックボンボン連載(95年5月~96年5月)
コロコロコミックと双璧を成すお子チャマ向けマンガ雑誌コミックボンボンで連載されたテレビ版ストリートファイターⅡVを原作にしたコミック。ストⅡ以前の話という設定でリュウとケンが17歳、春麗が15歳という無茶な設定で、ムキムキすぎてどーみても17歳には見えない上に妙に不良っぽいリュウが、逆毛のツンツン頭でむしろバーチャファイターのアキラっぽいデザインとなっている(まぁ超神もあのぐらいの年齢の頃は頭ツンツンだったが)。年下のはずのキャミィが逆に年上だったりサガットがミョーに良い人だったり、ナッシュがZEROで登場する以前にデザインされたためハゲオヤジだったりとといろいろメチャクチャなアニメだったが、このコミック版はキャラ設定やデザインだけ借りて実際はアニメとはあまり関係のない話になっている。

ストーリー上、リュウとケンと春麗がすでに知り合いで、旅の途中でリュウが一人だけ劇場版に出てきたサイボーグに襲われて逸れるハメになるのだが、そのサイボーグ達は世界中の格闘家の能力と外見を吸収してその本人の『ニセモノ』みたいな感じになってホンモノを殺害しようとしたり、いろいろ悪さをするわけだがそのサイボーグを作った組織を裏切った実験体がベガということになっていて、三つ巴的な展開になる。ガイルやブランカ、キャミィなどが味方になったり、本田やサガットになりすましたサイボーグ達と闘ったりして最後はその組織が作り出した人造人間の完全体と闘うことになる。キャラデザインや絵柄はなかなか上手なのだが、コミックボンボンには似合わず波動拳で相手の肉片がバラバラに飛び散ったりとミョーにグロかったり、ストーリーも設定もかなり原作とは異なっているので、むしろストリートファイターとしてではなく別個のバトルマンガとして読んだ方が楽しめる。
(ストZEROがアーケードでリリースされ神崎将臣コミックのゴウケンがオフィシャルで師匠という設定になるほぼ同時期に描かれたのだが、このマンガでのリュウ&ケンの師匠は豪雲というオリジナルキャラになっている)

ちなみに作者は現在ヤングマガジンで馬場康士を改め「馬場康誌」として、「空手小公子 小日向海流」を連載中。

 

スーパーストリートファイターⅡX外伝 伊藤真美

新声社コミックゲーメスト連載(95年7月~96年3月)

コミックゲーメストで連載されたストリートファイター達の私生活を描いた『外伝』なコミック。絵柄はビミョーに女性っぽいタッチが加わっているものの、キャラクターデザインはカプコンの西村キヌ氏のものにかなり近く、全体的に綺麗ではあるが、物語はというとキャラ設定なども含め、同人誌っぽい雰囲気になっている。リュウが筋肉馬鹿だったり、ケンとガイルがすっかり義理兄弟してたり春麗とイライザが仲良しだったりとか。まぁ、ストZEROの後の話と考えれば納得できなくもないが・・・ちなみにこれは第①巻らしいのだが、②巻は古本屋などを巡っても一度も目撃したことがないので、多分未発売かと。

スーパーストリートファイターⅡキャミィ外伝 中平正彦

小学館週刊少年サンデー増刊号(94年3月~7月)

後にコミックゲーメストで、カプコンが原作とも認めるストZERO、さくらがんばる!、RYU FINALを手掛けることとなる中平正彦先生のサンデー増刊号で連載された最初のストマンガでキャミィが主人公。キラーピー後のデルタレッド隊員としての闘いが描かれているが、ゲームからの登場人物はガイル、バルログとベガに限られている。ダルシムとフェイロンもほんの少しだけ登場しているが。女キャラが主人公ということで、始めは軟派な印象を受けるがそこはさすが中平先生、かなり白熱した戦闘シーンをみせてくれる。なおアメリカでも神崎将臣先生のストⅡコミックに続いて、英訳された米国版もリリースされている。

 

         
ストリートファイターZERO 1巻~2巻
中平正彦 新声社コミックゲーメスト
(95年8月~96年7月)
さくらがんばる!1巻~2巻
中平正彦 新声社コミックゲーメスト
(96年9月~97年8月)
RYU FINAL 天の巻・地の巻
中平正彦 新声社コミックゲーメスト
(97年11月~98年12月)
コミックゲーメストで大ヒットした、いまやこちらの方が原作ともいわれている中平正彦作の『ストリートファイターZERO』と続編の『さくらがんばる!』そして完結篇の『RYU FINAL』。殺意の波動という設定が登場したのもこの漫画がきっかけで、サガットを倒した後のリュウが自分の中に巣食う殺意の波動と闘う精神的な葛藤が描かれており、悩み続けるリュウに渇を入れる親友ケンや捜査官春麗を始め『世を乱す者』ベガを追うジェノバの占い師ローズや武神の影ガイ等キャラの魅力を充分に引き出している。OVA版と違ってナッシュやアドン、バーディ、ソドムもそれ相応の出番があり、本来ZERO1では登場しないはずのバルログやキラービー版キャミィ等が登場するのも嬉しい(後にCVS2で登場したストⅠのキャラ、イーグルもほんの少しだが登場している)。

続編の『さくらがんばる!』はZEROの最終戦でリュウとベガとの闘いに巻き込まれた少女さくらが再びリュウに合うためその足跡を追い、格闘の道を目指す話。始めはさくらが主人公ということでとまどったが、いざ読んでみればリュウの後継者として認めざるをえなくなるのが不思議。ダン、春麗やキャミィといった仲間を得ながら全米格闘王のケン、暗殺者の元、ロシアの英雄ザンギエフとのストリートファイトを経て最終的にリュウのもとへと辿り着き、感動の一騎打ちを繰り広げる。オリジナルキャラの神月かりんの登場やダンとブランカ(ジミー)が親友同士という設定などもこの漫画が元で、後にCVS2等に登場したファイナルファイト2のマキも、トンファーを使った格闘術や男勝りな性格などもこれが原作になっている。(今回はイーグルに続いてストⅠからは李が登場している)

そして完結篇『RYU FINAL』では数年の年月が経ち、殺意の波動をも克服したリュウだが未だに『真の格闘家』への道を見出せないでいた。だがある日、1児の父となり家庭を築いたケンが自分は真の格闘家への道を見つけたと言う。それは己のみの為ではなく、愛する家族のために闘うことなのだと。確かにそこには以前までのケンとは違う気迫がみなぎっていた。しかしリュウには拳を振るうことしかできない。ゆえにリュウは自分自身の真の格闘家への道を見つけだすことを決意する。その後、奇妙な老人オロと供に世界を周り、大巨人ヒューゴや双子の功夫使いユン&ヤン、イギリスの紳士ダッドリーなどを破り、宿敵(ライバル)サガットとも決着を付けたリュウはケンとの再戦の末に勝利し、過去に唯一出会った『真の格闘家』である豪鬼との最終決戦でリュウの長かった旅は幕を閉じる。そして世代はニュージェネレーションへ・・・

大袈裟ではなく、数あるストリートファイターの漫画の中では最高のシリーズといえる。にもかかわらず米国ではリリースされていないのは、おそらく出版社であった新声社が99年に倒産してしまい、版権を入手できなかったかったからか。

 

そして・・・恐怖
アメコミ版♪
勇気のある人は1巻をクリックすれば大きい絵で見れるぞ。壁紙にでも如何かな?ケケケケケケケケ!!!

アメコミ版ストリートファイター1巻~3巻 Len Strazewski  画 Don Hillsman Malibu社出版 (93年8月、9月、11月)
 今アメリカでは日本のアニメ・マンガが大ブームで、現在は Image社からかなーり日本マンガの影響を受けているストリートファイターのアメコミが出版されているが(実際に描いてるのはアジア人っぽいけど)、93年当時はそんなもんは知りません。ジャパニーズスタイルなんざ一切興味ありません。漫画といえばこーゆー絵柄が常識なのです。と、そんなこんなでカプコンUSAにアメコミを製作するよう依頼されたのはMalibuというアメコミ会社が出版することになった。そしてアメリカのNo1ゲーム雑誌Electronic Gaming Monthlyで予告篇まで載せてもらい、8月についに期待に添えて待望の第1話が発売された!・・・しかしそれは見るもオゾマシイ、クソと呼ぶには糞に失礼な程のラクガキにすぎなかった・・・てゆーか、ゲーム雑誌に載った予告篇だけで興醒めした者は決して少なくは無かったはずだ。一体何を考えてカプコンUSAはこのMalibu社を雇ったのかは大いに謎だが、もともと謎な行動が多いカプコンUSA支部、別に今更驚くことでもありません。

 見ればおわかりになるとは思うが、主人公であるリュウがかなりのブサイクです。カッコ良くしようとか思わなかったのか、それともこれがカッコ良いつもりなのか・・・?春麗はババァ顔でケンは典型的なスーパーヒーロー顔。バイソン(米国ではバルログね)はゴリラだし、サガットは頭剃った明石さんまでベガ(米国ではバイソン)はキショいゾンビづら。物語中のバルログ(米国ではベガ)なんかは2コマしか出番がなく、1コマ目は遠くからリングの上でリュウを挑発して次のコマではやられています。

 物語の方はとゆーと、リュウと春麗は恋人同士という設定で昔はケンと三人で修行をしてたらしい。んで、春麗は父ちゃんを誰かにぶっ殺されたんでインターポールの捜査員になったことでリュウに説教される。「武道より警察の仕事を選ぶとは何事だー」とか言って。でなんか二人のキモチわるぅーいキスシーンの後、一方ケンが、リュウに負けたことでムカついてるサガットに襲われるのだが、第2話でサガットに首を切り落とされて、リュウが宅配便でそのケンの生首を受け取ります・・・(勝手に殺すなよ)。おそらく当時何故か(アメリカでのみ)大人気だったアメリカンスプラッターバイオレンス格闘ゲーム(商売敵)モータルコンバットに対抗意識を燃やしてのことかと思われる。とにかくメチャクチャな不評に見かねたカプコンは3話で打ち切りにさせたよーです(あたりまえ)。んで、その打ち切りにされた3巻目ではMalibu社のオリジナルキャラ『フェレット』まで登場させちゃってます(3巻の表紙で本田らしき相撲取りに襲い掛かろうとしてる人)。このヨダレ垂らしてる変人のどこをどー見れば『フェレット』なのかはわからないが、とにかくこの3巻の終わりには中途半端に終わったことについての説明として

『complications with Capcom and their dislike of our adaptation of the most popular game in the world』と述べている。

 よーするに、カプコンがMalibuのストリートファイターを元に作ったコミックの出来が気に入らないので、打ち切りになりましたと。
それに続いて、もしこのまま打ち切りになってなかったら物語はどーなっていたのかあらすじが載っていた。

 そしてこの半年後程に今度は徳間書店出版の神埼将臣作の日本版が英訳されて発売され、日本漫画人気の火付け役の一つとなるわけだが、一方Malibu社はせめてもの反抗というべきか当時ストリートファイターのアメリカでのライバルゲームだったモータルコンバットのコミックを手がけることとなった。それが成功したのかどーかは定かではないが・・・一応その後、もう一度今度はストリートファイターの1話~3話をまとめた単行本を発売してみたらしい。

ファンサービス?
リュウと春麗のキスシーン

単行本表紙

*注意*
これは同人誌ではありません。

 

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