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80年代にアーケードやファミコンで大ヒットした飛龍の拳シリーズの続編、飛龍の拳Sゴールデンファイターが1992年世間ではストリートファイターⅡが猛威を振舞っていた頃に初の16ビット版飛龍の拳としてスーパーファミコンで発売された。翌年1993年にはアメリカでもアルティメット・ファイターと改名し発売される。同年アメリカではUFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)なるシュートファイティング団体が成立したのだが、このゲームの海外版リネーミングに繋がりは多分ないと思う。そして変更されたのはタイトルだけでなく、当時アメリカではありがちだったキャラデザインの変更も当然行われた。上記の画像のように、アニメチックだったキャラクター達がとっても濃くムサっ苦しい方々にイメチェン。
中華娘だったヒロインも、不自然にもチャイナドレスを着た金髪ネーちゃんに変更されたわけだが、結局カルチャーブレーンUS支部の者達がこの変更を望んだのか、もしくはそうでもしないとアメリカでは売れないと勝手に思い込んだ日本本部の日本人達が勝手に変更しただけだったのか真相は定かではない。どちらにしろ、当時アメリカのゲーム雑誌に2ページ分の豪快な宣伝をしたりと売り出す気満々だったようだが、現在アメリカでもこのゲームの存在を知るものはきわめて少ないため、おそらく失敗に終わったと思われる。

では、とりあえずいくつかの変更点を比較してみよう

  しょうりゅう

ワイラー りゅうひ ハヤト

 ミンミン

  Jimmy Greg Rick Hayato

  Mary

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こうして見るとデザインだけでなく、ネーミングも素晴らしいセンスしてます。『昇竜』から『ジミー』へと。英語と日本語を逆の立場にして考えると『ライジング・ドラゴン』を『太郎』にしたような感じでしょうか。ついでに言うと彼の顔も五人の中でも最悪になってます。

中国系のミンミンもしっかり西洋風な『マリー』に改名されたわけだが、さっきの絵では金髪だったのに、こっちでは赤毛になっちゃってます。金髪になってる方のグラフィックでは顔もそこそこ美人に見えるが、赤毛にされてる方は悲惨なことになってますね。しかも操作中のグラフィックでは髪型も日本版と変わらず茶髪のままなのは明らかな手抜きといえる。

5人の中で唯一まだマトモなのが主人公の龍飛・・・じゃなくて、リックさんかな。一応男前ではあるし。とりあえず彼の場合はゲーム中のグラフィックでも頭部が細かく変わっているのだが、現在のアメリカでは聖闘士星矢やドラゴンボールのように尖がった髪型はいまや大人気なので、どれも今のアメリカだったらありえない変更でしょう。まぁ、グレッグ(ワイラー)の場合これはこれで味があると思うが。

デモ画面



龍飛 ハヤト ワイラー げんがい
Rick Hayato Greg Gen

髪型だけでなく、頬骨の影に使用されている色の数も増え、目も一回り小さくなり、グッと濃い顔になった主人公・龍飛。名前はリックだが、実はフルネームが『Rick Ryuhi』らしい。ということは日系の人かなにかで、しかも龍飛って苗字だったのか・・・
一人だけ名前の変更がない、いわゆる色男系のハヤト。英語でいうとクールガイだが、このバイザーのようなグラサンかけた猫背男が当時のアメリカでいうクールガイだったのか?名前が日本人のままといういことは、これが10年前の米国人がイメージした「クールな日本人」? マッチョ系のワイラーがサワヤカ君にしか見えなくなってしまうぐらいのゴツイおっちゃんにされました。そして名前はとてもアメリカンな響きのする『グレッグ』さん。つーか、どーみてもファイナルファイトのハガーにしか見えんのだが・・・
 
こいつは別に変えんでも良いだろとも思うが、とりあえず変更後は一気に老化が進み、モウロクし始めたかのように見えなくもないげんがい爺さん。それでも名前を『ゲン』なんてオチャメにも省略してまだまだ現役のようです。
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変身の時は龍戦士ならぬ、『Flying Warriors(フライング・ウォリアーズ)』というそれこそ「ぶっ飛んだ」戦士達に変身です♪

龍飛


Rick
 

ワイラー

Greg

 
 

ハヤト

Hayato

 
 

昇竜


Jimmy
 
 
主人公組の4人が龍戦士なるものに変身すると、聖闘士星矢っぽいってか三国志っぽいっていうかとりあえずカッコ良いヨロイを纏って闘うわけだが、やはり10年前のアメリカにはこのデザインがオリエンタルすぎたのか、本場のスーパーヒーローらしく全身タイツに着せ替えてみました。ところが皆さん変身シーンではマントを羽織っているのに、いざ戦闘になると突然消えてしまいます。まぁ、日本版でもハヤトの羽根みたいのと昇竜の腰に巻いてるやつも消えてしまうので、それは言いっこなし。そして当のジミーくんは変身グラフィックも他より小さくし、年下らしさをアピール。でも格闘シーンではみんなと同じサイズ♪・・・でもやっぱみんなカッコ悪いです。なんというか、日本人の感覚(だけか?)からすれば、変更後で唯一日本版よりカッコ良い所といったらせいぜいリックとジミーの武器がライトソードみたいなのになったことぐらいか・・・せめて某宇宙刑事達のよーなカッコ良いサイボーグにでも変身してくれればと思うのだが、そーゆー日本の特撮ヒーロー番組がアメリカにデビューしたのも同じく1993年だったため、ほんの少し時代が速すぎたよーです。結局数年後にN64で続編が発売された頃にはアメリカでもジャパニーズスタイルのキャラデザインが大流行りとなり、米N64版ではこの米スーファミ版のよーに変更されたデザインは微塵も見当たらなかった・・・

 

結論

続編出す時ややこしいだけだし、後から自分らが赤っ恥かくだけなのでムリな変更はよくない!

 

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