―綾音 霧幻天神流覇神門 最強のくノ一
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[DOA++]
自分が本当は霧幻天神流頭首となるべき男の娘だと知ったのは、いつのことだったろうか。
霧幻天神流覇神門上忍・幻羅の子。それはただ真実を隠す為の偽りの縁に過ぎなかった。幻羅の一番弟子として、覇神門最強の使い手にまで育てられたという恩はある。だが、真実から防げられていたという怒りはそれ以上に大きい。その矛先を誰に向ければ良いのか、綾音には分からなかった。
雷道。それが自分を捨てた本当の父の名。彼は天神の村を去り、自分はその後に生を受けた。だから、父の顔は知らない。特別な感情を持ち得るはずもない。
「お前は不義の子。それを一番、お前に知られたくなかったのです・・・。」
母を名乗る女性は涙を流しながらそういった。あれはいつのことだったろうか。
「かすみを追え。」
そう指令を受けたのは先日のことだった。半分だけ同じ血を分けた少女の横顔が脳裏をよぎる。そして、いつも羨望の的だったかすみの兄・疾風の微笑み・・・。
「かすみ、あなたとは違うのよ。あなたは逃げたのよ。たとえ理由が何であろうと。」
里の外れで力尽き倒れ込む疾風を見つけた、あの夜の光景は決して忘れまい。わき上がる悲痛の叫びを必死に飲み込み、彼を背負って皆の元へ連れ帰ったあの夜。
掟を破ってまで己の思いに素直になれる少女とは違う。
自分と同じもの、そして違うものを持つ少女を綾音は追う・・・。
[DOA2]
かすみの異父妹でありながら、闇で生きなければならないあやね。そのため、かすみの刺客として任命されたときは、とりわけ嫌な気分すらしなかった。妖術に通じ深山の女天狗ともいわれるすさまじい術の使い手。抜け人に対する掟を守るため、かすみの後を追って大会に参戦することを決意する。だが、その大会で標的のかすみ意外にも思いもよらぬ人物と遭遇。それはかつて思いを寄せていた疾風。運命の歯車が音を立てて回りだした。
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[DOA3]
あやねのかつての師であり、夢幻天神流覇神門の長、幻羅の足取りが途絶えた。 いまや覇神門最強の忍びとなった彼女は、その幻羅がDOATECの超人開発計画、通称オメガ計画によって傀儡(くぐつ)と化したことを知る。 父にも等しい幻羅の成り果てた姿を目のあたりにしたあやねは、己の手で彼を葬り去らねばならないと悟る。 |